東カレでマッチング。
写真から圧倒的な美女であることはわかるが37歳という年齢。
メッセージは丁寧だが淡々とした返信。
電話を打診するも断られる。
この時点から主導権争いは始まっていたにも関わらず、俺はそれを見抜けずあっさりと敗北していた。
夜アポは断られ昼アポを組む。
シーシャカフェを提案するも断られ相手の提案するカフェへ。
この時点で完全に主導権は相手側にあった。
だが俺は油断していた。美人とはいえ売れ残り。焦っているに違いない。俺を欲してくるはず。
そんな甘い幻想を抱いていた。
相手の指定したカフェに集合。
一目みた瞬間、吸い込まれる。
くりりとした大きな目。小さな顔に整った完璧なバランス。
美しい髪、洗練されたファッション。
「あの、こんにちは。」
思わず声がうわずる。
相手は余裕をもってこちらを見ている。
「めちゃくちゃきれいですね。緊張してバクバクしてます。」
こちらから媚びるように下手にでてしまう。
この時点で格下認定、オスとしてナシの判定を食らった。
もはや挽回できない、自分が非モテムーブをとってしまっているのはわかるが圧倒的な力の差を前に修正が効かない。
「アプリで会うってことはある程度いいなと思っているんですよね?」と尋ねるも「ただどうかなと思って会っているだけ。女の子はそんなにすぐに気持ちが盛り上がらないから、何回かあって付き合ってみてだんだん好きになっていくものだと思う。別に会う前にそんなに気持ちはない。」とすげなく返される。
相手の仕事の話では、相手の勤めている企業が不動産や飲食などいろいろやっているところと聞いて、「手広くやってるんですね。」というと、「経営者では当たり前のこと。一つの事業に絞らず、どれか一つがダメになっても大丈夫なようにしている。経営者だったらああ、それねとわかってくれるものだけど」と暗にお前は美女の世界観を何もわかっていないと告げられる。
つい相手の元カレに関して聞いてしまい、経営者と付き合っていたことやその時のデートの話などを聞き、自分と比較して食らってしまう。
完全なる非モテムーブ。格下の扱い。
自分の魅力を伝えるどころか欠点をさらし始めるも、相手は共感してくれてこちらを立ててくれるため、相手を魅了するどころか魅了される始末。
完全に掌で踊らされた。
1時間ほどで相手が携帯をいじりだし興味を失ったことがはっきりと示される。
相手からもう行きますねと言われ、最後まで主導権を相手に握られた。
事後にはブロックされており、圧倒的な敗北であった。
反省点。
その一、相手の実力を見誤ったこと。
若さに価値を感じている自分としては、相手の価値を認識できていなかったが、美人の積み重ねた年齢はそのまま恋愛戦闘力に直結する。美人ほど年齢を甘く見てはいけない。
実際、相手のしぐさや振る舞いは圧倒的に美しく、見られることに慣れているもの特有のオーラがあった。
年齢で下がった価値もあるが積み重ねたものは消えない。
そこに敬意を払い、相手の価値をきちんと評価できるかが勝負の分かれ目となる。
実際彼女は今でも現役で経営者などからモテているであろう。
そこと比較して自分がどういう価値を提供できるのか。事前準備を重ねるべきだった。
その二、格下の振る舞いをとってしまったこと。
美女ほど男には強さを求める。それは今回の俺のように媚びてくる格下の男がたくさんいるからこそ。
決して誠実系のアプローチでは勝てない。格下の弱い男には靡かない。
美女相手にはイケイケでいけ、という教えがようやく腹落ちした。
あのクラスを魅了し、落とすには、オスとしての魅力で勝負しないと搾取されるだけだ。
彼女の場合は、搾取する相手は周りにたくさんいるだろう。
オスとして強い男、自分を妊娠させる男を求めていたはず。
俺はそれを認識できず、周囲と同一のアクションをとってしまった。
守ってくれる男なら、安定をくれる男なら、周囲のおじさん経営者でいいはず。
だがマッチングアプリをやっているのはそれでは満足できないから。
モテるはずの彼女がなぜアプリをやっているのか、考察を深めて理解していればそれに適した振る舞いをとれたはずだった。
その三、主導権あらそいに負けたこと。
メッセージの段階から負けが決まっていた。
決して主導権を渡さないこと。
破綻を覚悟で強い打診をすること。
失っても構わないという覚悟が美女を引き付ける。
美女ほど、この男は自分より格上か、テストしてくる。
そのテストを乗り越えること。
絶対に言いなりにはならない、自分を通すことを大事にする。
今回は圧倒的格上に完全敗北した。
相手の行動をそっくりトレースすればそれがモテる男の振る舞いになる。
相手の提案は断り自分の要求を通すこと。
自分で店と時間を設定すること。
店で待ち受けるほうがいいのか、それとも駅で合流がいいのかはどちらもテストしてみて判断しよう。
店を出るのは必ず自分から告げること。
1時間で判断すること。
今回は負けてよかった。
格上を知れてよかった。
彼女との出会いと、貴重な時間を与えてくれて、大事な教訓を与えてくれたことに感謝したい。